ラングドック(オック語: Lengad'òc)は、フランス南部の地方名で、元々は13世紀にフランス王領に併合されたオック語地方を指す名称。西北からガール県、エロー県、オード県、ピレネー・オリエンタル県を跨いだ広範囲の産地であるために、土壌も多岐に渡ります。海沿いの地域は砂質、石灰質、粘土質で、山側の地域はシストと呼ばれる結晶片眼、泥灰岩、玉砂利などが広がっています。東に位置しているプロヴァンス地方と同様、その多くが典型的な地中海性気候ですが西部では海洋性気候の影響も見られます。夏は雨がほとんど降らずに乾燥しており、冬は穏やかな気候です。トラモンタンと呼ばれる乾いた冷風がブドウ畑を乾燥させ、病害から守ります。 主要品種は、白ブドウがグルナッシュ・ブラン、ブールブーラン、ピクプール、クレレット、ヴェルメンティーノ、マルサンヌ、ルーサンヌなど。また、主にフランス北部で栽培されているシャルドネや、スペインワインに多く使用されるマカベオ(マカブー)も栽培されています。黒ブドウはグルナッシュ、ムールヴェードル、シラー、カリニャン、サンソーなど。温かい気候を好むブドウ品種が多く、味わいは、まろやかでふっくらとした果実感と、やわらかい飲み心地が特徴です。
生産者名 | Olivier Cohen オリヴィエ・コエン |
Argelliers | アルジェリエール |
オクシタニー地方のエロー県北東部にある村。2つの自然遺産(エローの峡谷 と モンペリエの峡谷)を有している自然豊かな地域で、エロー川、コルビエール川、アルネード川、ガロンヌ川、その他の小河川が流れています。地中海性気候に分類され、冬は温暖で夏は暑く、日照時間が長く、頻繁に激しい風が吹きます。風の影響は、この土地で造られるワインに南らしからぬふくよかな酸をもたらします。
オリヴィエは、学生時代から親が通っていた地元のカーヴ「la part des anges」でアルバイトをしていました。
ヴァン・ナチュールを多く取り扱うその老舗カーヴには、栽培地とはかけ離れたニースという場所ながら、フランス全土から、たびたび生産者が訪れていました。
当時、もうすでにナチュラルワインに夢中になっていたその青年は、彼らから沢山のことを吸収しワインへの探求心を深めていきました。
2011年頃から生産者を目指し、いくつかのドメーヌで見習いを経験するようになります。
ニースによく訪れていたコルスのアントワーヌ・アレナやサンジョセフのピエール・ゴノン、フレデリック・リヴァトン、フィリップ・バレットなどが主に研修先でした。
なかでもとりわけ影響を受けたのは、一番長く研修に挑んだティエリー・アルマンでした。
厳しい環境のなか無我夢中で畑のこと、醸造、そしてワインについてを必死に学びました。
ドメーヌを構えたのは、モンペリエから北西に車を30分ほど走らせた場所に位置するアルジェリエールという村です。
ニース時代から付き合っていた妻アレクシアと田舎暮らしをすることが夢だったオリヴィエは、二人の生まれ故郷からあまり離れない南の土地で畑を探していました。
ボジョレーのような軽やかなワインが大好きな彼が南らしからぬ酸をもたらす土地アルジェリエールに辿り着くまでに、あまり時間はかかりませんでした。
2014年から正式に地元の生産者ベルナールさんから畑と醸造所を譲り受けると、初ヴィンテージでは軽やかなタッチで人気を博したビュバビリテタイプのロン・ルージュ、熟成を見据えたキュヴェ、ロン・ヴェールという異なる2つのスタイルのワインをリリースしました。
その後、雹害や猪の被害などに合い収穫量が極端に減った年なども経験しましたが、少しずつ畑を増やしていきました。
同時に健全な葡萄を提供してくれる栽培者との出会いも増え、ネゴシアンとしてもチャレンジを続けます。
2022年には生産者として最も尊敬するベダリューのアクセル・プリュファーから葡萄を分けてもらいます。
彼に会うと、いつも畑のこと、醸造のこと、疑問に思うことは片っぱしから聞くようにしているオリヴィエ。
人柄の良いアクセルは、後輩に惜しみない知識を分け与え、情報を共有してくれています。
そんな彼(オリヴィエ)も最近では、自身のドメーヌで研修をした若者を生産者として世に送り出しています。
若手と言われた時期も過ぎ、若者に目標とされる中堅生産者になりつつあります。
過去には、皆から愛されるキャラクターなだけに、いろんな人のアドバイスを素直に受けすぎてしまい、醸造に悩む時期もありました。
でも今は、経験が裏付けとなって確信に変わり、彼らしく信じた道を突き進めています。
「la part des anges」(ラ・パー・デ・ザンジュ)でアルバイトをしていた頃、好奇心いっぱいにキラキラした眼差しを向け、生産者を質問攻めにしていた若者は、その頃と変わらない探求心であらゆる挑戦を続けています。
最近でいうと、ひとつは羊です。現在50頭以上の羊を飼っているオリヴィエ。
愛犬のディエゴは近ごろ立派な牧羊犬になりつつあります。
羊は畑を歩き回り雑草を食べながら地表を掘り起こし、 排泄物も健全な栄養分となります。
自然の芝刈り機であり、肥料であり、さらには土壌の水分を程よく保つ効果もある。
土壌を安定させることを目標としているオリヴィエにとって最高の相棒であり、まさに「Les Vigne de Mouton」だ!と本人曰く。
おまけに、羊のひづめの刺激は、土の中に微生物のフローラを作り、極端な寒さや暑さに強い土壌を形成するのに役立つといいます。
二つめは、畑の周りを囲むように植えられた沢山の植物。
現在、ピスタチオ、ザクロ、ローズマリー、オリーヴなどを含む400~500本程の樹が植えられています。
初めは慣れずに葡萄の樹を枯れさせてしまうこともありましたが、今はそれぞれの特性をつかみ、新しく買い足したカチカチだった畑をコンディション良好なフカフカな土壌に改善することに成功しています。
醸造においても挑戦を怠りません。
ソレラシステムは2015年から続けているし、2年前からは、新しくフードルも使い始めています。
ネゴスにおいては、白ブドウ、黒ブドウ、混醸造、品種ごとの醸造、ダイレクトプレス、全房発酵、マセラシオン、ときにはルモンタージュしたものなどを、タンクも多様に組み合わせる。
昨今の世界的なオリヴィエ人気はこのチャレンジの賜物と言っても良いでしょう。
彼の感覚とセンスは、飽くなき探求心によって磨かれています。
今回、日本のために造ってくれたキュヴェは、友人、輸入元、そして彼自身と膝を突き合わせてアッサンブラージュを繰り返し完成させたものです。
よく彼が思いを馳せる「ニース時代の仲間」で造り上げたキュヴェ。アッサンブラージュをしたその日もニースを思わせる太陽がまぶしい気持ちの良い快晴でした。
「Carte Postale」という名前は、忘れられない思い出をそのまま絵葉書にして送り届けたいという想いが込められています。
純粋にナチュラルワインを愛する仲間が集まり夜通し議論を交わしていたあの頃(若かりし日々)と、そんな風に日本の人達にも楽しんでもらえることを想像して造りました。
今後はもっと自分のワインを身近な存在として楽しんでもらいたいという想いを込めて。。。
《テイスティングコメント》
赤色がかった綺麗なムラサキ色。
ザクロやブラックチェリー、バラの花びらの瑞々しい香り。
アタックは滑らかで、ジューシー。
生き生きとした酸と繊細なタンニンが綺麗に溶け込んでいてバランスが絶妙。
アフターにかけて海藻のような旨味と妖艶な果実味が乗ってくる。
《テイスティングコメント》
中程度の濃さの綺麗なムラサキ色。
抜染後すぐに雑味のないストレートな果実の華やかな香りがグラスいっぱいに広がる。
カシス、ブルーベリー、木いちごの豊潤な果実味。
プリムールらしいキュートなキャラクター。
しなやかなタンニンと繊細な酸味がバランス良く、構成に奥行きを与えている。
《テイスティングコメント》
ほんのり濁りのある桃色がかったオレンジ色。
瑞々しくフレッシュな印象。白桃や黄桃の香り。
ハチミツやピーチティ、ハイビスカスのニュアンス。
余韻にオレンジピールのような苦みと、酸味が心地よく残る。
2日目、3日目もマイナスな要素なく安定して美味しく楽しめる。
魚料理やスパイシーな料理との相性が良いでしょう。
《テイスティングコメント》
淡く華やかなハイビスカス色。ほんのり濁りあり。
チェリー、すもも、イチゴ、グレープフルーツ、タイム。
抜栓後まもなくは口中にプチプチと心地良い液中ガスを感じる。
ジュシーで軽やかなタッチでありながら果実味と旨味がたっぷり。
瑞々しくフレッシュで酸も乗っている。
低めの温度でスルスル飲めちゃうビュバビリテワイン。